【WALTZ2014】中川運河 映像アーカイヴ プロジェクト

場所によっては90m以上の幅の水面を持つ巨大で静かな「中川運河」に、これまた巨大なスクリーンを並べて映像を写す。そして護岸の空き地に椅子を並べてフードトラックを誘致し、夕方からは酒を飲みながら、その映像を眺めようというめちゃくちゃ豪快なプロジェクトが、実は去年から始まっている。今年のは既に終わってしまったけど、きっと来年も行われるだろうということで、今から非常に楽しみにしてる。

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▲水面にぼんやりと浮かび上がる映像。実際にはこんなスクリーンが確か6枚あった




パブリックアートにおける場所性

映像の内容は、複数人に人物のバストアップで、正面を見つめたり手で顔の一部を覆ってみたり、それらを非常にゆっくりな動きで映しているもの。また、現場である中川運河の水面の様子や、風景、それらを陸地や船の上から撮影したもの。一見すると、とても「退屈」な映像である。例えばこれを自宅のテレビで見せられたら、僕なら1分と持たずにチャンネルを回すだろうと思う。

でもここは夜の川辺であり、少し肌寒く、片手にはコーヒーやビールを持ち、観覧している人たちのおかげですこしざわざわしている。そういう「現場」で、おかしな大きさの上記したような場所性の強い映像を見せられるという不思議な経験をする。スクリーンに映しだされた映像を見ているようで、いつの間にか水面やその後ろの倉庫街、工業団地に目が行く。気づくと水面をなんとなく眺めている。そしてまたスクリーンに目をやると、そこにも水面が映しだされていて、少しだけ混乱する。映像はきっと30分もすれば一周してしまう程度のスケールだけど、僕は気づいたら3時間くらい、その場で見ていた。

見終えて気付くことは、映像を見せられていたのか、中川運河の風景を見せられていたのか、ビールを飲んでいたのか、結局何をしにあそこに行ったのかわからなくなっているんだけど、それでもなんか気持ちよかった、という感覚だ。

長谷川章氏のデジタル掛け軸

非常に主観に寄った話をします。
現在、屋外でアーティスティックな映像を建物なんかに投影して盛り上がろうという類の作品が増えてきている。すぐに思い浮かぶものとしては、長谷川章氏の「デジタル掛け軸|D-K」かな。彼の作品は今日名古屋でも東京でもどこでも引っ張りだこで、過去には中川運河でも催されたことがあり、年越しのイベントとして東別院、赤レンガ倉庫なんかでもやってるし、とにかく露出が多い。真っ暗闇の中で、ドでかい建築物にド派手な映像を投影して、そりゃ盛り上がることこの上ない。

▲素晴らしい写真を「優しいユーロを楽しんでいます♪」さんよりお借りしました

二度ほど現地で見たことがあるけど、僕はこの作品が苦手だ。一度は自ら見に行き、一度は偶然やっていたのを見た。ケチをつけるわけじゃないけど、現場に行くと写真で見るほど色は鮮明じゃないし、投影する建築物の文脈に沿った映像というわけでもない。

百万枚のデジタル映像をコンピューターにアトランダムに組み合わせ、複数のプロジェクターで、歴史的建造物や雄大な自然に投射して幻想的な空間を作ります。 投射された画像は朝陽がのぼったり夕日が沈むように地球の自転速度でゆっくりと変化して情景を創りだし、見る人は思い思いの情感を心の中に描くことができます。


「D-K デジタル掛軸 それは」には、上記のような紹介がしてある。非常にゆっくりとした速度で、カラフルな映像が徐々に変化していくのは、僕が見た時も同じだった。「地球の自転速度が・・・」みたいなこと言われて完全にノックアウトである。興ざめ。

野外で見るアートプロジェクションに期待するもの

デジタル掛け軸が苦手な理由、それは「場所性が無い」こと。屋外で、ダイナミックなスクリーンに、繊細で大きな映像を投影する。それだけで充分意味を持っていて、充分に大衆を楽しませることには成功してる。メイクマネーももちろん。世に与えたインパクトの大きさで言えば、非常に大きな功績だと思う。
でも実は、見ているようで、スクリーンにされた建築物には目が行かないし、ランドスケープにも、歴史にも文脈にも思いを馳せることは無い。

アートを見るのは難しいと言われているけど、一つ僕自身が分かりやすかなと思う見方は、今目の前にある作品から、目の前に無いものごとを想像するということ。自分の記憶という引き出しから、過去に見た別の作品や、自分自身に起きた出来事、メディアで見たもの、そういうものが色々と湧き出てきて、それらと並べて見てみたり、繋がる部分を探してみたり、比較して考えてみたりする。こういうことも、一つアートの楽しみ方だと思う。

美術館で見る作品だったら作品に集中するけど、せっかく街中で見るものなら作品だけじゃなくて、それが設置された支持体、つまりランドスケープや建築物、その存在意義や歴史なんかにも目が行くほうが豊かだし、得られる興奮も大きい。そう思っている。だからこそ中川運河の「WALTZ」には感動して何時間も眺めていたんだと思うし、記憶にも強く残っている。

作品を通して、中川運河の色々を僕らに見せてくれている、というのはさすがに過大解釈すぎるかな。ちなみに僕は中川運河推しなので、非常に偏り、バイアスにまみれたエントリーでした。
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by shoz718 | 2014-10-15 08:00 | ちょっと出かけた

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